無為にバリエーションを追うのではなく、しっかりとした意味や機能、美しさを持つデザインを心がけています。
ただ表面的に目立つデザインや流行のスタイルを追うのではなく
シンプルな暮らしに役立つ家具作りを 目指しています。
北欧の椅子や家具に引かれたその訳は職業訓練校時代に北欧の椅子や家具に触れたことがその考えに至る契機となりました。
ペーパーコードや籐の座面、ほとんど無塗装に感じられた素地の仕上げ、遠い北欧の国で日本人の感性「襖や障子、畳など日本建築の素材感」にフィットするデザインで家具が作られているのが驚きでした。
またクリント、ケアホルム、ウェグナー、モーエンセンなど、どのデザイナーの作品も機能的で美しく加工精度の高いものばかりでした。
しかもどれも押し付けがましい所がない、そんなデザインにも興味をひかれました。
たとえばウェグナーという人は北欧のデザイナーの中では、やや個性的な椅子をデザインするデザイナーですが、彼の個性や嗜好が使う人に負担を与えるよう なデザインをしていません。使う人が入り込める余地をキチッと残しています。使い手はその家具の使いやすさや美しさを感じるだけ です。
椅子ブームなのでしょうか、最近はテレビCMで背景にデザイナー椅子が置かれているのを数多くみかけます。また北欧家具やデザイナー家具をとりあげた雑誌の発行も目立ちます。車や洋服、靴などは、様々のブランドを一巡りしてご自分の指針も出来上がり,選択眼にもある程度、自信ができました。では椅子についてはどうでしょうか。車や服、靴を選ぶ時どんな事を考慮して選ぶか思いえがいて見ると解りやすいとおもいます。案外基本的な事を忘れているかもしれません。
オールマイティな椅子というのは、あればいいのですが、ないのが実情です。いくらデザインが気に入っても休憩用の椅子で食事というのは具合が悪い、自分がどんなタイプの椅子を探しているのか、気に入った椅子があったとしたら、その椅子は本来何の為に作られたのか再確認してみましょう。
■ダイニング、軽作業用の椅子を例としてお話します。
■まず日本では室内で靴を履かない事が前提となりますから靴を脱いだ時の事を想定して選びましょう。
■椅子の座面の高さ《A》はひざから踵までの長さより少し短め、踵が浮かない高さに
■座面の奥行き《B》は深すぎたり、浅すぎない様に!簡単な確認方法として、
ひざの裏側の部分《C》に自分のこぶしが一つ入る位の余裕があるか調べてみましょう。
■人は常に同じ姿勢を保っている訳ではありません。後を振り向いたり、体を動かして色々な姿勢で椅子に座り、違和感がないか確認しましょう。
■これは重要な事なのですが座った直後の感覚で椅子を選ぶのはいけません。最低限十分から二十分位は座ってみる、お店で選ぶなら勇気を出して何回も通い、座り心地を十分に確認しましょう。
■椅子は人が座って居ない時でもなんとなく気になってしまう、ちょっと特別な家具です。人との相性もあります。基本的な性能も大切ですが、「なぜかこの椅子が好き」といった、あなたの感性、琴線に触れるお気に入りを見つける事も大切です。
基本的なダイニングチェアのお話を踏まえて、それに合わせるテーブルについてはどうでしょうか。皆さんが陥りやすいケースは、まず最初にテーブルを購入してしまうことです。そして付け足しの様に椅子を選ぶ、これでは心地よい空間になりません。下駄箱を選んでそれに合う靴を買う様なものです。まず、家族が座り易い椅子を選び、その椅子に座った時、具合の良いテーブルを選べば、まず間違いありません。おおよその目安としてテーブルの高さは70センチ前後です。